コーヒー豆知識
焙煎機

コーヒー豆の焙煎ってなに?

私たちがコーヒー豆を買うとき、豆の色はたいてい茶褐色をしていますよね。
薄茶のような淡い茶色のものもあれば、黒に近いほどの濃い茶色をしたものもあったりします。
実はこれらの色、コーヒー豆が元々もっている色じゃないって知っていました?
コーヒーの原材料は、コーヒーノキに実る「コーヒーチェリー」という木の実。
普段飲むコーヒーからは想像もつかない、さくらんぼのような見た目をした赤い果実です。
その赤い果実から取り出した種を ”生豆” と言い、色は淡い緑色をしています。
世界のコーヒー産地から日本にやってくるコーヒーは多くがこの状態で届き、そこから「焙煎」をすることで、ようやくあのお馴染みの茶褐色のコーヒー豆が出来上がるわけです。 
ちなみに、焙煎をせずに生豆からコーヒーを淹れるなんてこともできるのでしょうか。
答えとしては、できません。生豆は硬くて砕くことができず、それに湯を注いでも、ただ豆の外側の不純物がお湯に溶け出すだけで、飲みものとしては成立しません。
コーヒーの苦味や酸味、そしてなんといっても1番大切なあの香りは、焙煎によって初めて引き出されるものなんです。
コーヒー豆の焙煎とは「コーヒーの香りや風味を生み出し、生豆をコーヒー豆にする作業」と言えるでしょう。
コーヒーの生豆  

焙煎と豆の変化 

焙煎は、具体的にはコーヒーの生豆を"炒る"作業です。
加熱することで、豆の細胞が化学変化を起こし、あの独特な香りや風味が出ます。
ここでは、焙煎の工程と豆の変化について少し紹介したいと思います。
焙煎のはじめは、予熱運転を行って焙煎機そのものを温めるところから。常温スタートでは、豆の内部に熱がうまく通らず美味しい豆ができないからです。オーブン料理の予熱設定と同じですね。
庫内が十分温まってきたらいよいよ生豆を投入!焙煎をスタートします。
生豆を投入し、庫内の温度が上昇してからしばらくすると、熱で豆の水分が熱でどんどん蒸発していき「ハゼ」と呼ばれる大きな破裂音が鳴ります。
ポップコーンをフライパンで炒ると、パチーン!パチーン!と音を立てて跳ねますが、あんな感じです。
庫内で踊っている豆たちが、音を鳴らして焙煎の進み具合を知らせてくれるわけです。
はじめは、熱で膨らんだ豆の細胞が破裂する、1ハゼと呼ばれるパチッパチッという大きな音。
このタイミングからそこまで間を開けずに焙煎を切り上げる(豆を取り出す)と、豆は "浅煎り” と呼ばれる状態となり、風味も元の果実の酸味が強く残ったような軽めの仕上がりになります。
さらに焙煎を続けると、やがて豆の細胞が壊れ、2ハゼと呼ばれるパチパチという音が聞こえます。
一般的にはこの2ハゼを超えてしばらくすると豆は "深煎り” の状態となり、 さらに進むと焦げがどんどん進み、苦味の強い重めの仕上がりになっていきます。
※浅煎りや深煎りなど、豆の焙煎度合いについてはこちらの記事で紹介しています。
焙煎具合のチェック
ハゼ以外にも、焙煎中は火力と空気圧を調整しながら、豆に起こる様々な変化を観察しています。
まずは香り。最初は青っぽい匂いですが、徐々に例の香ばしいコーヒーの香りが立ってきます。
次は豆の表情。最初は淡い緑色ですが、徐々に茶色へと変化しその濃淡が濃くなっていきます。
また、豆表面にシワができたかと思ったら、最後にはそのシワが伸びて質感がツヤツヤしてきます。
このように、焙煎中は刻一刻と豆が変化していくため、気が抜けません。
香りの変化を感じ、パチパチといったハゼの音に耳を傾け、豆の状態を目で見て確認する。
そして、それらのタイミングを見逃さずに、焙煎を切り上げ(豆を取り出す)ているんです。
この「どこで焙煎を切り上げるか」がとても重要で、同じ種類の豆でもコーヒーの仕上がりにはっきりとした違いが出ます。
これは、焙煎によって、同じ豆でもコーヒーの香りや風味が変わってくるということなんですね。
焙煎完了あなたが、どこかのコーヒー屋のコーヒーを飲んでそれが好きだと思うなら、それは扱っている豆だけでなく、その店の焙煎度合いがあなたの好みなのかもしれません。
焙煎は"炒る"のですから、例えば家庭でフライパンや網で焙煎することだってできます。
ただ、それでは豆に満遍なく熱を通すということは難しく、豆本来の香りや風味を引き出すには、やはり焙煎機を使ってきめ細かく焙煎する手法がよいと思います。
ぜひ、自家焙煎をしているコーヒー屋で、自分好みのコーヒーを見つけてみてください。
自分好みの焙煎をしてくれるお気に入りのコーヒー屋を見つけるのも、コーヒーの楽しみ方の1つなのではないでしょうか。
 
written by :   Nobuhiro Yuge
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